八ヶ岳 裏同心ルンゼ

毎年シーズンはじめに足慣らしで行っている裏同心ルンゼで、アイスクライミングを楽しんできました。

 

※今回登ったのは、入門ルートとはいえアイスクライミングルート、つまり一般登山道ではない「バリエーションルート」です。登りたい方は、ダブルアックスや専用のクランポンなどの適切なクライミング装備を揃えたうえで、十分に経験を積んだ実力のある登山者の指導の下で挑戦してください。また、このブログは安易な単独登攀を推奨するものではありません。

 

今年は記録的な暖冬で、アイスクライマー的には地獄のシーズンになりそうです。赤岳鉱泉では先週雪ではなく雨が降ったそうですが、聞かなかったことにしておきましょう。。。

 

仕事を終えて深夜の安房峠を越え、道の駅で仮眠の後に赤岳山荘まで一直線。道中の林道に一切雪はなく、気温も極めて高い状態でしたが、「果たして氷があるのだろうか・・・」という疑念はもう捨てるしかありません。ここまで来たのだから覚悟を決めて行くしかないのです。

 

6:00 赤岳山荘 出発

ヘッドランプ装着でスタート。普段凍結してツルツル滑る林道も、雪が全くないので快適だね!と自分を励ましながら歩きます。

 

6:50 赤岳鉱泉 到着

ここまで到着しても雪が全くありません。F1がダメそうだったら、もう下山して温泉にしようと半ば諦めムードのまま裏同心沢を詰めます。

※F1=下から数えて1番目の滝、ということ

↑裏同心沢から見上げる大同心 真っ黒・・・

 

7:15 裏同心ルンゼ F1基部到着

とりあえず氷は残っており、少し薄いですが登れそうだったので一安心。

クランポンなどの装備を身に着け、シーズンイン一発目のアイスクライミング開始!

 

F1を登りきると、次のF2が見えるのですが、

 

景色が完全に秋そのもので、思わず苦笑い・・・

 

 

 

 

貧乏性なので「岩の上を歩くとクランポンが削れて減ってしまう!」と脳内でぼやきながらF2,F3と連続して続く氷瀑をサクサク進みます。

氷は部分的にシャーベット状で、脆い箇所がありますので不慣れな方は慎重に登りましょう。

 

 

こちらが最後の氷瀑となるF5ですが、岩が露出している部分があり気温が高いこともあって表面はボロボロ。土日に大勢のパーティーが入ったのでしょうね。

 

8:30 裏同心ルンゼの終了点へ到着

 

ここからは、大同心の岩壁を左に見ながら大同心稜まで歩き。

しかしご覧のように雪がないので、またしても「クランポン減ってしまう恐怖症」に悩まされながら、すごーく慎重に歩きました。もちろん、滑落予防という意味でも慎重に歩くことは大切です。

 

↑大同心稜から眺めた阿弥陀岳です。正面に見える顕著な尾根が阿弥陀岳北稜で、今日はこの阿弥陀岳北稜も継続して登攀するつもりでした。

しかしご覧の通り、下部は完全に土が露出。。。

「ひとりだし、今日はもう下山して観光でもしよう・・・」

というわけで大同心稜を歩いて降りたのですが、その下降路がこちら↓

 

お察しの通り、クランポンは結構減りました。(泣)

岩に体重を預けるたびに「ギギギ」とクランポンが立てる音色と、私が悲しみをこらえて歯を食いしばる「ギギギ」という音が不快で素敵なハーモニーを奏でていたような気もします。この下降が、今回の登山全体を通して一番キツかったです(経済的な意味で)

かといってケチって早めにクランポンを外すと、凍結した道で足を滑らせる可能性があり笑いごとでは済みません。どのタイミングでクランポンを外すか?というのは、こういう微妙なシチュエーションでは結構重要なポイントだったりします。

 

9:20 赤岳鉱泉 帰着

9:50 赤岳山荘の駐車場 帰着

パーフェクトに消化不良ですが、仕方ありませんね。

はやく強い寒波でも来て、ドカッと雪が降ってくれることを祈ります。

 

富山店 武田

 


オススメ商品

PETZL リンクス

27,000円+税

重量:1000g(ペア)

登攀用で迷ったら、とりあえずこれにしておけば間違いない!という定番モデルです。

写真ではセミワンタッチ方式で装着する仕様になっておりますが、付属のフロントベイルに交換すればワンタッチ方式に変更することも可能。前爪もモノポイントに変更可能です。これ1つでワンタッチ・セミワンタッチを兼用できる上、前爪交換用のキットも販売しているので、爪が減ってしまっても大丈夫!そう考えれば、実は結構お買得なクランポンだったりします。私も普段使いはこれです。

 

GRIVEL G20プラス

22,800円+税

重量:880g(ペア)

はい出ました、最強クランポン!!(※あくまで個人の感想です)

前モデルのG20をベースに、写真では写っていませんがセンターバーに横向きの爪が2本追加されたことで、歩行時の安定性が高まりました。片足440gという軽さも大きな魅力です。

グレーの前爪の隣に申し訳程度に生えている黄色いツメ、一部界隈で俗に「補助輪」と呼ばれているものですが、これが凄く、すごく良いのです。氷を登るときはメインの前爪のサポートをしてくれ、岩を登る際もまさしく「補助輪」的な役割を果たし、それでいて邪魔にならない絶妙な長さ、形状。さすがはグリベルと言わざるを得ない素晴らしい作り込みです。

まあ私のG20は今回で結構減ってしまいましたけどね

(リンクスを持っていけばよかった・・・)